翻訳・通訳のグローヴァ

  2.Proactive (プロアクティブ)


 誰かに言われたままに、何かを表面的に見たままに、流されたり、諦めたり、喜んだり、怒ったり、悲しんだりするのが、リアクティブ。
 自らイニシアティブをとって、行動を起こし、人の行動を変えたり、状況を改善したりするのが、プロアクティブ。
 「環境」(会社、顧客、取引先、上司、他部署、同僚、部下等)に対して、「行動」=自分の行動で環境に影響を与えられる範囲がどのくらい広いかが、プロアクティヴさの尺度となる。行動の輪が広ければ広いほどプロアクティブである。



例えば、「やりがいのある仕事を任せてもらえない。なぜなら上司が信頼してくれてないからだ」という状況だとすると、

レスポンシヴな行動  = 上司を批判→ますます関係悪化→ますますはじかれる
プロアクティヴな行動 = 信頼してもらえるようにする→任せてもらえる→ハッピー

というふうになる。自らの行動で環境(上司の行動)が代わり、将来が変わる。
タイムマシンは過去に戻って現在を変えることができる。すごいことだ。でも、人間はもっとすごい力を持っている。それは、

現在の行動を変えることで、将来を変える力

である。タイムマシンなんかなくても構わない。人間なら誰でも持っている、この素晴らしい力に気づくことが大切。


  プロアクティブ・レベルの判定実例

レベル あったはずの電話器が突然消えた。不便だ。さてどうする? クライアントから業務実績を聞かれた。さてどうする?
-1 何もしない。なぜ業績が悪いのかと訊かれたら「電話がないので業務効率が悪いからです」と理由を述べる。 自分自身は取り扱ったことがないので「実績はない」と答える。非受注になった後で「実績がなかったからです」と理由を述べる。
0 なぜ、電話が消えたのか、状況を調べようとする。が、隣の人から「社長が受話器をもっていったらしい」という噂を聞いて諦める。 自分自身がやったことがあるかではなく、会社としての実績を調べようとする。隣の人に聞いてみるが「知らない」と言われ、諦める。
1 その噂の元を突き詰め、噂は嘘で「受話器はあるはず」と言われる。現場にいくと、机の横に受話器が落ちているのを発見。でも、接続コードがない。ここで諦める。 隣の人たちだけでなく、実績表があるかどうかを然るべき担当者に聞いてみる。でもどうやらそのような表はないらしい。必要性を訴えて終わる。
2 接続コードも、あるはずだと業者から聞く。そこで机と机の間を調べると、とぐろを巻いているコードを発見。 実績表をつくることを提案する。または、自分で調べたり、工夫して、プレゼンする。
*電話は単なる一例。同じことが販促ツール、設備、時間、予算、人的リソース、指導、ノウハウなど、すべてのリソースについていえる。 *業務実績は単なる一例。同じことがクオリティ、価格、納期など、営業の成否を決めることすべてについていえる。


レベル システムが遅くて業務にならないほど支障がある。さてどうする? 同僚の○○さんに仕事を頼んだ。でもやってない。さてどうする?
-1 何もしない。なぜ業績が悪いのかと訊かれたら「システムが不便で業務がひどく非効率だからです」と理由を述べる。 何もしない。上司から、なぜ仕事が進んでないのかと訊かれたら、「○○さんに頼んだのだけど、音沙汰がないのです」と理由を述べる。
0 システム管理者に、不都合を報告する。でも、返事がないので諦める。 ○○さんをとことん突つく。でも○○さんはギブアップと言っている。そこで諦める。
1 管理者に事の深刻さが伝わっていないかもしれないので、返答があるまで業務にひどく支障があることを伝える。外部の業者が動かないのが原因と聞いて諦める。 周りに○○さんの代わりができる人を探してみるが、見つからない。自分でもできる範囲内で精一杯やってみるができない。諦める。
2 原因が外部の業者がだろうが何だろうが、業務にならないのは困ると訴える。最後は最終責任者まで追いかけて訴え、なんとかしてもらう。 仕事が完了するのを見届けるまで行動を終えない。上司に援助を求める、全社に向けて助言を求めるなどして、成し遂げる手段が見つかるまで行動する。
*システムは単なる一例。同じことが、予算、規定、製造品質、他部署の機能、協力体制、すべての環境についていえる。 *同僚は単なる一例。同じことが、部下、他部署、上司、社外取引先、グループ会社などすべてにいえる。


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