Lesson11 対応力を身につける 〜さらに上を目指して〜

講義
文句の場合や決まったパターンがある場合は慣れればできるようになるが、そうではない場合は臨機応変さが求められる。また、通常の応対にプラスアルファの工夫を入れることで、際立って印象的なホスピタリティとなる。最後にそのような例を挙げる。

1 守りの応対
@ クレーム応対
基本原則:
言ってはならないことは厳守しながらも、物腰はやわらかに

わからないことを適当に想像で答えない。しかし相手が「誠意がない!」と怒るほどに「何もわかりません」の一点張りでもまずい場合もある。間違ったことを言って後でトラブルを大きくしないように気をつけながらも、相手に対して誠意の伝わる応対を行わなければならない。また、担当外のことについて下手に首をつっこまないというのも原則である。職責範囲を超えた言動を行ってしまい、無用なトラブルをつくるというパターンもありがちなことである。しかしながら、この場合も「無責任な対応だ!」と相手を怒らせないような応対が求められる。言ってはならないことは厳守しながらも、物腰はやわらかにというのが基本原則である。相手の激情につられて感情的になってしまうのは論外。

A セールス、取材、新規取り引きの申し出
基本原則:
上司の行動を縛らないよう、意志決定の自由を確保する

どんな相手にでも、クイックレスポンスを行えばよいというものでもない。望みもしないセールスの電話を上司に取り次いでしまって、忙しい上司の時間を割いてしまい、怒られるという失敗もありがちである。特に取り次ぐ相手の役職が上になるほど、この類の注意は必要で、重役クラスになると取り次ぐ電話を事前にスクリーニング(かかってくる電話を取り次ぐべきものとそうでないものとに振り分ける)することが求められる。逆に、取り次ぐべきものを取り次がないという場合もありえる。 基本ルールは、上司の行動を縛ってしまうような応対をしない。つまり、取り次ぐべきでないものを取り次ぐことは、上司が話をしないという意志決定の自由を事前に奪うことになるし。取り次ぐべきものを取り次がないことは、話をするという決定の自由を事前に奪うことになる。そうならないようにするには、その場でまず上司の意向を確認するのが無難である。上司に確認するまでは、何ひとつ決定するような言動をしない。その場で上司に連絡がつかないときは、普段から上司の意向や方針をこまめに確認するということと、状況に応じた臨機応変な判断力が求められる。


2 感動を生むホスピ
@担当者以外の人から
自分がいつも見知っている担当者に電話した時の、取り次ぎの別の人から 「○○様でございますね。△△の件では大変お世話になりました」 「いつも○○(相手側の担当者)がお世話になっています」 というふうに言われると、自分が特別に大切に扱われていると感じられて感動。

A過去にあった出来事を覚えている
自分と相手との間で過去にあった出来事を具体的に持出して、 「以前○○の件では大変お世話になりました」 「△△の時にはわざわざご足労いただきありがとうございました」というふうに言われると、自分のことをよく覚えてくれていると感じられて感動。

B相手の時間を大切にする気つかいのセリフ
具体的な案件を話する前に、「○○の件についてなのですが、今お話してよろしいでしょうか?」 と聞かれるといきなりがーっと話されるよりも、自分の時間を大切に気づかってもらっていると感じられて感動。実際に「その件なら後にして」とか「その件なら他の担当の○○に話してもらった方が」と言いたくなる場合もあるだろうし。「今日お話さしあげたいのは3点ございまして」という話の始め方も、効率的に話を進めるという気づかいだろう。「頂いたお電話で恐縮なのですが、○○の件、今お話してよろしいでしょうか?」というのも、丁寧な感じがする。